美狐はベッドの上で愛をささやく
……くれないさん。
「くれないさん……わたし……は……」
本当は……。
「うん?」
離れたくない。ずっと傍にいたいっ!
でも……わたしといれば、紅さんは不幸になる。
わたしがまた、紅さんを傷つけてしまうかもしれない。
言えない。
本当のことは言っちゃいけない。
やっぱり、わたしは紅さんから離れるべきなんだ……。
言いかけた言葉を飲み込み、わたしは口を閉ざす。
「紗良、余計なことは考えなくて良い。わたしは君を欲している。ただそれだけなんだ」
ダメ。
甘い囁きに耳を貸してはいけない。
必死に拒絶するわたし。
それなのに……。
「愛している」
「……っつ!!」
紅さんはまた、わたしに愛を告げた。
卑怯だ。
紅さんは卑怯。
わたしが想っている貴方に愛を告げられたら、もう抵抗なんてできないじゃない。