美狐はベッドの上で愛をささやく
たったそれだけでも、わたしの心臓が跳ねる。
掴まれた場所から、熱が生まれる。
「あっ、あの……?」
どうしていいのか戸惑ってしまう。
だって、わたしの厄介な体質についてはあらかた話した。
いくら有能な霊媒師でもわたしを拒絶するはずだ。
それなのに……この人は……わたしを拒絶しないなんて……。
……どうしよう。
わたしは今まで、厄介者扱いされてきた。
『帰さない』なんて言われたことが無かったから、何て答えればいいのかわからない。
しばらく男の人から視線を外さずにいると、微笑みを崩さないまま、首を傾けた。
「……って言ったらどうする?」
「えっ、あの……」
――えっ?
もしかして、さっきのは、冗談?
「…………」
…………そうだよね。
そんなことないよね。
わたしを受け入れてくれる人なんてそうそういないよね……。