美狐はベッドの上で愛をささやく


紅さんの言葉が本当なのかを知るため、視線を逸(ソ)らさずにいると……。

ニッコリと微笑まれてしまった。



「わたしが気を抜いたのがいけなかったね。今度からは気をつけよう。今後一切、君を傷つけさせはしない」


その言葉はまるで、わたしはこれから紅さんと一緒に住むみたいな言い方だ。


それはとても甘い誘惑。


すごく、くすぐったい。



こんなわたしでも受け入れようとしてくれるのが嬉しい。


口元がゆるむのが自分でもわかる。

きっと、今のわたしはものすごく間抜け顔をしていることだろう。





「体が汗でベトベトだ……。さ、お風呂に入ろう。

実はね、もう沸かしていたんだよ」


そう言って、紅さんはわたしの膝の後ろに腕を挿し込んだ。


――えっ?


――――ええっ!?


「く、くれないさんっ!?」


「『歩ける』なんてことは言わせないよ? 君はさっき転げ落ちるということを実証してくれたんだから」


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