ナイト!
もう、何でこんなことになっちゃうのよ。
ダメだと思ってたのに。
もう近づいちゃいけないと思ったのに。
余計近づいてしまうじゃないの……。
「……やめ、て…」
これ以上、あたしを苦しめないで。
「っ…!?」
南雲くんのちからが一瞬弱まった隙に、南雲くんを押し退ける。
「おいっ…!」
南雲くんの制止も聞かず、出入り口に向かう。
扉を開き、誰かとぶつかったけど、その人の顔を見ることもなく、一目散に走る。
ーーああ、もう。
南雲くんの顔を見るだけで苦しくなる。
ドキドキしたり、泣きたくなったり、何も考えられなくなったり。
気づいてしまった。
気づいちゃだめなのに。
あたしには、彼のことを想う資格なんてないのに。