さくらへようこそ
その後から入ってきたのは、
「お邪魔します」

大倉だった。

彼の手にはカスミソウの花束が握られていた。

「さくらさん、これ。

八束さんのところでキレイなカスミソウがあったので、もしよろしかったら」

大倉は花束を美桜に差し出した。

「まあ、ありがとうございます」

美桜は大倉の手から花束を受け取った。

「粋なことするねえ」

レコード店が不動産屋にコソッと耳打ちした。

「もういっそのこと、結婚しちまえばいいのにね」

不動産屋もレコード店にコソッと耳打ちした。
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