さくらへようこそ
大倉からの手紙を読み終えた美桜は、
「――静岡に行くなら行くって、そう言えばパーティーを開いたのに…」

目頭が熱くなったのを感じて、指で押さえた。

カスミソウの花束を水を入れた花瓶に移し変えると、カウンターのうえに置いた。

「さて…と」

美桜はドアを開けた。

カスミソウに視線を向けると、
「行ってきます!」

呼びかけるようにあいさつをすると、ドアを閉めた。

まだ寒いが、春はもう目の前だ。

これから始まる新しい季節に、美桜は微笑んだ。


☆★第2話「春雷」完結☆★
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