さくらへようこそ
(初めまして、あなたが生んだ娘です)

美桜は心の中で骨壷の中で眠っている母に声をかけた。

(私は、あなたが私を捨てたことを恨んでいません。

私を大切に育ててくれたママはもうこの世にはいませんが、私は元気です。

『ニコニコ横町』のみんなと一緒に楽しく生きています。

本当はもっと早くにあなたに会いたかったです。

会って、お酒と料理を囲んであなたといろいろなお話がしたかったです。

だけど1つだけ、お礼を言わせてください)

美桜はそっと、あわせていた両手を離した。

(――私を生んでくれて、ありがとうございます)

その言葉に答えるように風が吹いて、美桜の頬をさわった。
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