さくらへようこそ
「もちろん、ママの本当の子供じゃなかったって言うことにショックは受けた。

でも、感謝したわ。

生まれたばかりの私を捨てるような情がない実の両親に育てられなくてよかったって思ってる。

厳しかったけど、優しかったママには今でも感謝してる」

そこまで言うと、美桜はそっと指で目の下をぬぐった。

「高校2年生の終わり頃に、ママは亡くなった。

くも膜下出血、本当に突然だった」

雨はまだ降っている。

「最初は、この店を閉めようかと思ったの。

ママが死んで1人ぼっちになって、私1人じゃママの店を経営できないって思った。

だけど店にきてくれる人がいて、そのうえ再開も楽しみにしている人もいて…時間はかかるかも知れないけど、ママが残してくれたこの店を続けようって思った」
< 54 / 167 >

この作品をシェア

pagetop