いつもので。


その辺ってどの辺に座ってたら正解なんだろう。

フローリング?ソファー?

というかさっきのやり取りの結果って、両思いってことになるの?

あの人のこと本当知らないことばかりだ。


「…自問自答は終わったか?」


ぽんと頭に手が置かれて、大袈裟なくらいに肩が跳ね上がった。


「っ、驚かさないでください」


「…驚きすぎ。体ごと跳ねてた」


くっと意地悪そうに笑んだ彼は、ソファーの前にあるテーブルにコーヒーの入ったカップと水の入ったコップを置いた。


「いつまでも立ってないで座れば?」


ソファーに座った彼はたぶんそこが定位置なんだと思う。


「あの、どこがいいと思いますか?」


「なにが?」


勇気出して聞いたのに聞き返されちゃうと恥ずかしくなる。

座る場所も決められない優柔不断な子に思われたらいやだな。


「その…座る場所…」


じっと向けられる視線に耐え切れなくなって視線をずらすと、ぐいっと腕を引っ張られた。


「いちいち反応がいいな、すずは」


引っ張られるままに着地したのはソファーの上で、彼の隣だった。


「今度からは当たり前のようにここに座っとけ」


腕を掴んでいた手は離れたけど、わたしの肌から離れることはなく、手を握られた。


「…今度」


今度ってことはわたしはまたここに来ることになるの?

ここに座ることになるの?


「逃がすつもりないからな。ああ、隣がいやならいっそ膝の上に来るか?」


くくっと意地悪な声のあとにつないだ手の指と指から絡まって、どこを見ていればいいのかわからなくなる。



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