西暦2308年


「突然悪かった。お前の両親は、生きているから安心するんだ。とりあえず、このままいくぞ。」


「行くって……どこに?」


「呪われた無人島、日本。あぁ、大丈夫だ。そんな顔しなくても航路や空路で行くんじゃないから。」


そうじゃない。
日本………日本だって?


「日本……って…。」


「お前の先祖が住んでいた国だよ。」


燃え盛る炎の中、僕には全ての現実を受け入れることが出来なかった。



「なんで…?なんで日本なんかに行くの?父さん達に早く会わせてよ!」


「お前は………川上揚羽だろ?何も知らないのか…?」


「なんで僕の名前を知ってるんだよ!知らないよ…なんで…昨日まで幸せだったのに…。」


この子は、なんなんだろう…

よく見たら、僕と同い年くらいみたい。水色の髪の毛と、紺色の瞳がとっても綺麗だった。


そして、そんな受け入れられない現実ばかりが先走って冷静になることなんかできない。




「私は、セレン。……月の女神と同じ名前だ。とりあえず、此処にいては蒸し焼きになってしまう。一度私の家に行こう。」


「セレン……。」


「あぁ。ほら。揚羽。」


伸ばされた手を握ると、セレンはグイッと引っ張ってもう一度走りだした。


不思議と、まるで空中を走っているように足が軽い。

まったく、このセレンという子はなんでこんな不思議なんだろう…?





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