西暦2308年


僕の名前は川上揚羽(カワカミ アゲハ)。14歳。
純日本人。日本最後の首相は僕の先祖。
血筋を意識して、日本が無くなってから250年経つのにまだ純日本人だ。


揚羽という名前の通り、僕の瞳は日本人には珍しい淡い黄色。
髪の毛は漆黒で、まさに揚羽蝶。

小さい頃から学校には行かず、独学で勉強してきた。だから友達なんていないし、街の子だって家の窓から見たことある子くらいしか知らない。


そんな僕が、初めて街を走った。
寧ろ家から出た。


父さんや母さんから純日本人は嫌われるからと外出を禁じられていた為、外に出なかった。いや、興味もなかった。



セレンが初めて出会った親類以外の人で、引っ張られている腕がなんだかこそばゆい。

テレビの中で見るような女の子とは口調も全然違って、僕には眩しすぎる。


「揚羽?」

「え?なに?」

「いや…じっと見てるから…。」


一体何処までこの炎の海は続いてるんだろう?
いい加減喉も乾いてきたし、大分限界が近付いてきた。

「だって、セレンが不思議だったから。」

「何言ってるんだ?揚羽の方がよっぽど不思議だ。」

「そう…かなぁ…。」

「あぁ。」






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