強引上司のターゲット
答えるまで許さないと言っているような瞳で見る課長は、あたしが答えないのを感じたのか、はぁーと一つ、大きなため息をついた。


そして、目の前に差し出されたハンカチを見てデジャヴかと思っていると
「ほら」と言ってあたしの口に押し当てる。



…!!!
「いたっ!」


痛い!なに?!


「唇、切れてる。」


嘘…


「血が、出てる。」


あ…またあの顔。


あたしの黒子を触った時。

課長の家のソファーで起きた時。


帰り際の、頬にキスをされた時。



そして…今。



課長の悲しそうな切ない顔が、あたしの胸をギューっと掴むように苦しくさせる。





「なんで、そんな顔…するんですか?」





その顔見ると、辛くなる。


ふっと困ったように笑った課長は、今までの誰よりも優しく、あたしをそーっと抱きしめた。





そして


続けられた言葉に
あたしの記憶が蘇る。






「俺が絶対に守るって言ったのに…。
怖い思いさせて悪かった。」
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