ナツイロ~俺様部長様とわたしの秘密~(2014年夏短編)


わたしたちは、わたしの一目惚れから始まった。


新入生歓迎会のときに初めて見た、庵藤先輩の演奏する姿。


堂々としていて、しかもイケメンがクラを吹いているもんだから…。


ズキューンて、わたしのハートは撃ち抜かれた。


そんな彼が、普通系女子代表のわたしの彼氏様なんだ。


幸せです。うふふ。


あ、お付き合いが秘密だってこと以外に関しては。





「玉井! ぼんやりしてないで、早くクラ構えろ!」


「は、はいっ!」




完全にトリップしていたわたし。


また俺様部長様にねちねち言われたのは言うまでもない…。




「待たせたな」




日が落ち、静まりかえった練習後の教室。


ちょうどコンクールの課題曲のクラが一番目立つフレーズを吹いて、自分の音に酔いしれているときだった。


俺様彼氏様の庵藤先輩が現れた。


個別特訓という名の、密会の、始まりだ。




「いよいよ、明日だな」


「そうですね。深月先輩」


「なんだ、お前、怒ってんのか?」


< 3 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop