確信犯
このケダモノの男は。
目を、開けていられないらしくて。
「柿原の祖母は、末期ガンでした。私を引き取れないコトを、アナタのコトを、恨みながら死にました」
――『悔しいねぇ…赦せないよ』
『思い知らせなきゃ』
祖母の、いまわの言葉
力なく項垂れる男の、
襟元をつかみ上げて。
私は、カオを近付ける。
「私は、和菓子屋に引き取られて、“一ノ瀬美森”になりました。けれど、“柿原八重”でもあるんです」
――わざわざ説明してあげれば、
マヒした頭でも分かりますよね?
「祖母と逢ったコトは秘密にしてきました。一ノ瀬の養父母にも」