確信犯



このケダモノの男は。


目を、開けていられないらしくて。






「柿原の祖母は、末期ガンでした。私を引き取れないコトを、アナタのコトを、恨みながら死にました」






――『悔しいねぇ…赦せないよ』


『思い知らせなきゃ』


祖母の、いまわの言葉






力なく項垂れる男の、


襟元をつかみ上げて。


私は、カオを近付ける。






「私は、和菓子屋に引き取られて、“一ノ瀬美森”になりました。けれど、“柿原八重”でもあるんです」






――わざわざ説明してあげれば、


マヒした頭でも分かりますよね?






「祖母と逢ったコトは秘密にしてきました。一ノ瀬の養父母にも」





< 158 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop