確信犯



聞きたいコトは、そんなコトじゃないハズなのに。






「『可哀想なヤツ』なんて言って悪かった。“可哀想”は見下す言葉だ」



匠は。


さっきから謝るだけ。







でも。


欲しい言葉も見当たらなくて。


所詮、そんな関係しか築けてない。






「寂しい時は、ちゃんと寂しがればいい。オマエ、寂しくなかった?」






諭されるような言葉でも。


やりたいコトをほぼ終えて、空っぽになってしまった私を――


埋めるコトはできない。






「仕事はできる。メシも食える。眠れる。でも、消えない。消せない」






なのに。


匠の声に、息が詰まる。





< 177 / 500 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop