確信犯
「『人のキモチが分からない人は、幸せになれない』」
匠が呟いた言葉は。
母が、言っていた言葉。
「それとも……何一つ、良いことなんてなかったと、心の底からオマエは思ってんのか?」
いつのコトを指してるんだろう。
子供の頃?
それとも――
「この子を産む時、何を思った?」
私は――
検査薬の判定が“陽性”って出て
純粋に
ただ純粋に
嬉しかった
白澤有雅とか、家族とか。
何も関係なくて。
一ノ瀬の養父母に。
私が片親になるコトを謝ってでも、産むと決めていた。
ひたすら、頭を下げ続けた。