確信犯
抱き合うコトよりも怖いのは。
キスだった。
キモチがダダ漏れそうで、
何もかも暴かれそうで、
隠せなくなるのが怖かった。
抱き合わなくても。
共有できてしまう温もりは。
簡単に私を追いつめるから。
私を苛ませた仄暗い悦びは。
明らかな歓びへと変わる。
それは。
誤魔化しなんてきかなくて。
匠の温かさに。
全部、拐われてしまうのが。
怖かった。
「オヤジのコト――考える余裕残してるくらいなら、オマエの全部俺にくれよ。他のコトなんて考えるな」
――『俺をオマエにやるよ』って
言ったクセに