あまのじゃくな彼女【完】
炭と煙の匂い。
いつもの引き戸をガラっと開けると、カウンターの隅に頭ひとつ飛び出たいつもの顔を見つけた。
「おせぇよ、シュン」
飲みかけのビールを掲げ、こっちだと言うようにくいっと顎をしゃくった。
「悪いな、宏太。急に呼んで」
「良いんだよ。俺も話したかったし」
隣の席に腰掛けネクタイを緩める。
おしぼりで手を拭い、ビールジョッキに口をつけたところで「ふぃー」っとようやく落ち着いた。
「おっさんだな、お前」
「んあ?サラリーマンは大変なんだよ。先生様とはちげぇの」
どうも宏太と一緒だと気が抜けすぎる。小学生の頃からの付き合いともなると、お互いの恥ずかしい過去なんて知り尽くしてるもんだし、今更取り繕いようがない。