猫の世界と私
涙を流し、悲しむ結愛の側に猫たちが集う。
それぞれの猫が擦り寄り、擦り寄れない猫たちは側で毛づくろいを始めた。


結愛は視線を上げ、優しく擦り寄る猫に手を差し伸べると、自分の格好が以前と違うことに気付いた。

肩に掛かるくらいの長い髪。
ジーンズ生地のショートパンツにタンクトップ、白いシャツを羽織ったラフな姿。

その姿は、結愛が今立っている教室には相応しくなく、学校を全くイメージさせない格好だった。



「何で、こんな格好なのかな…しかも、髪…伸びてる…」



以前セミロングだった時もあった。
今回はそれよりも少し長い感じだ。

あの時から少し時間を進めた感じと言えば、繋がりがあって納得する。



「ううん、それよりも…早く行かなきゃ…」



無くなった記憶に焦りが募る。
様々な疑問があるけれど、今はそこに構っている暇はない。

とにかく、瑛祐…彼に会わなければ、いつ彼のことを全て忘れてしまうか分からない。

その一心で、結愛は懐いている猫たちに構うことなく教室の扉を開いた。
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