猫の世界と私
3.彼との思い出
教室の扉を開いた途端に響く沈黙。

静かに視線を受けることは以前と何も変わらなかった。


何の躊躇もなく結愛は教室を出ると、ふと振り返り猫たちを見る。
予想通り、猫たちは一斉に結愛を見ていた。



「………」



怖いと思っていた始めの頃と違い、不思議と今は怖いという気持ちが沸かない。
それよりも猫たちの表情が悲しそうで、胸の奥が締め付けられるように痛かった。



「ごめんね…」



そう呟くしかできない。
ここから出なくては次には行けない。

結愛は前を向き歩き始めた。


その時、突然猫が鳴き始める。



「にゃぁ…ぉぅ…」



儚くて長く、弱々しい声。
そんな猫たちが次々と鳴き始める。


予想していなかった出来事に、結愛は再び振り返った。



「え…」
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