「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「ギリアスさん、話は後で…今は急がなければ!」

「あぁ、そうだな!
あとはあの牢だ、こっちは誰もいない。
それと奥に番人が二人とロジャーがいる…だが、おかしいんだ。
いつもなら、酷い拷問が始まってるはずなんだが今日はその声がしない…」

「ライアン、俺、見て来るよ。
あんたは鍵を頼む。」

「私も行こう!」

セスとギリアスは、奥の部屋に進んだ。
二人が扉の前で耳を澄ますと、中から聞こえてきたのはいびきのようなものだった。
ギリアスは、音の立たないよう慎重にノブを回し、わずかに開いた扉の隙間から中をのぞきこみ、呆れたような表情を浮かべる。



「奴ら、眠ってやがる…」

それでもギリアスは油断をすることなく、足音を忍ばせながら中へ入り、セスもそれに倣った。
二人の兵士は、椅子の上でもたれるようにしてぐっすりと眠り込んでいた。
そして、部屋の奥には、椅子に括りつけられ、全身から赤い血を滴らせた裸の男がぐったりとした様子で座っていた。
セスの目にはその男はすでに死んでいるように感じられた。



「ロジャー!」

ギリアスは男に駆け寄り、男の戒めに手をかけた。



「……兵士長……」

男の腫れ上がったまぶたが僅かに開く。



「ロジャー、心配するな。今助けてやるからな。」

「兵士長…国王は……」

「しゃべるな。国王は私達が必ずお助けする!」

「兵士長…僕は…もうだめです。
僕のことはもう…それよりも早く国王を…」

男はそれだけ言うと再び静かに目を閉じた。



「馬鹿野郎。このくらいのことで音を上げる奴がおるか!
ロジャー、しっかりしろ!
おまえも一緒に国王をお助けしに行くんだ!
それまで死ぬことは許さんぞ!」

力強くそう言ったギリアスの頬には、熱いものが流れていた。
戒めが解かれると、ロジャーの身体はそのまま前のめりに倒れ込んだ。



「うっ…」

セスは、その光景に声にならない声を上げた。
ロジャーが座らされていた椅子は普通のものではなく、座面にも背もたれにも鋭い金属の棘が埋めこまれていたからだ。
その棘がロジャーの皮膚を貫き、肉に食い込み、大量の血を滴らせていた。



「な…な…なんてことを…!」

ギリアスはロジャーの身体を抱き抱えながら、激しい怒りに全身を震わせる。



「すまないが、ジョーイを呼んで来てくれ。
それと、君達は他の兵士を連れて先に逃げてくれ。」

セスは、ライアン達の元に戻り、ギリアスの伝言を伝えた。
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