「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「笛の音?
どんな音だったんだ?」

セスは、焦り、ロジェの肩に掴みかかる。



「おいおい、何があったか知らんがそう慌てなさんなって。
……どんなと言っても言いにくいんじゃが…下手ではない。
いや、むしろとてもうまい感じがする…じゃが、なんというのか…冷たい感じがする音じゃったな。
このあたりに笛を吹く者なんかおらんからな…不思議に思っとったんじゃ。」

「そうだな、そいつはきっとよそ者に違いない。
それで、その音はいつも何時頃聞こえるんだ?
どこから聞こえる?」

「そうじゃなぁ…音は、確か、森の方から聞こえたようじゃ。
時間は…わしがそろそろ寝ようかと思う頃じゃな…
……おぉ、そういえば、今日は聞こえなんだな。」

「本当か!?
今日は確かに聞こえなかったんだな!
間違いじゃないな!」

「ほ、本当じゃ。
今日のことがわからん程、わしはまだもうろくしとらんぞ。」

「……あ、すまなかった。
遅くに起こして悪かったな。」

「お、おい、セス…!」

ロジェの伸ばした腕が力なく降ろされた。



(一体、何があったんじゃ?)

ロジェの声は、もはやセスの耳には届いていなかった。
セスは、まるで風のように、闇の中を森に向かって走り出していた。




(そいつに間違いない!
誰かが俺を待ち伏せして、数日前からこの付近に潜んでいたんだ。
そして、俺と間違えてフォルテュナを…!!
すまない、フォルテュナ!
俺は、必ず、あんたを救い出すからな!)

セスは心に強くそう誓う。



彼の的外れな妄想は、確実に一人歩きを始めていた。
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