「異世界ファンタジーで15+1のお題」四
「セス…これからこの見知らぬ世界でどうやって暮らしていくつもりだい?
僕はこの世界では泉の精霊だから、ここを離れることは出来ないんだ。」

「わかってるさ。
ま、なんとかなるだろ。
知らない場所を旅するのは嫌いじゃないしな。」

「そう…それなら良かったよ。」

「なぁ、フォルテュナ……旅に疲れたら、たまにはあんたに会いに来ても良いか?
それとも、立場の違うこの世界じゃ、あんたと俺は友達じゃなくなるのか?」

セスは、どこか心配そうな声でフォルテュナに尋ねる。



「どんなに状況が変わっても、変わらないものもあるんだよ。」

フォルテュナは遠くを見ながら、まるで独り言のように呟いた。



「相変わらず、ひねくれた言い方だな。」

二人は同時に苦笑いを浮かべて俯いた。



「……それにしても疲れた。
今夜はここに泊めてもらって良いかな?」

「泊まるって…ここには宿もベッドもないけど、それで良ければ…」

「どうせ、俺は文無しだから、そんなものはなくても構わないさ。
精霊様のお許しが出たから、今夜はゆっくり眠れるな。」

「供物があっちにたくさんあるから、それを食べると良いよ。」

「そうだな…腹もすいてるけど…
今はなんだかとにかく眠い…
少し寝かせてもらって良いかな?」

「あぁ、構わないよ。」

「ありがとう、助かるよ。」

セスは、泉のすぐ傍の柔らかな草の上に身を横たえた。



見知らぬ世界での今後のことも、フォルテュナが精霊だったということも、セスにはそんなことはどうでも良いことのように思えた。

ずっと心配していた友人が無事でいてくれた。
それが確認されたのだから。



誰が、何のために、セスやフォルテュナに、ルシアン達の歴史を伝えたのか…
伝える事にどんな意味があったのか…

きっとそれは知る必要のある時になれば自然に明かされるのだ。
セスは、自分にそう言い聞かせながら、風の音に耳を澄ませる。



(同じじゃないか…
俺の世界の風の音と少しも変わらない…)



口許に小さな笑みを浮かべながら、セスは風の音を子守歌に、静かに眠りに落ちた。
そんなセスの姿を横目で見ながら、フォルテュナは幸せそうな笑みを浮かべる。



(今度こそ、僕にも掴めるかもしれないね…)



~fin~


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