イージーラブじゃ愛せない
洒落になんないくらいダメージを負ったスネをしゃがみ込んでさすりながら、俺はりんりんの言葉に顔を上げる。
「え?胡桃、食堂にいたの?なんだ、そんなら声掛けてくれればいいのに~。りんりんもだよ、こっち気付いたなら声掛けてよ。そしたらみんなで飯食えて、茜ちゃんにも紹介出来たのに」
「はぁあ!!?」
「茜ちゃんと友達になってあげてよ。あの子、俺しか喋る人いないんだってさ~可哀想じゃん」
ようやく痛みの治まってきたスネから手を離すと、俺は立ち上がって真ん丸い目をしてるりんりんと向かい合った。
「元カノとかさ、関係ないよ。別れたあと後腐れないのが俺の主義だし。お互いもう何とも思ってない。だから、そーいうの抜きでりんりんも接してあげてよ。りんりん、そう云うの得意っしょ。ひとりぼっちの子とか放っとかないじゃん」
「……それは……そうだけど……」
「俺のせいで茜ちゃんハブられるとか悲しいよ?」
「別に……!ハブるとかそーいうつもりじゃ!」
「ほんじゃ仲良くしてあげて?ね?」
ニコリと笑って頼むと、りんりんは何だかゴチャゴチャした表情を浮かべながらも小さくコクリと頷いた。
んー。りんりんのこーいう素直なところ、俺好きだなあ。
とりあえずりんりんが納得したところで、俺は「またね」と手を振ると、小物の箱を抱えて売り場へと戻った。