イージーラブじゃ愛せない



終わった恋に未練やいさかいは残さない。再会したときに笑って挨拶が出来ること。それが俺の主義だった。

……それって、どんだけペラい恋だよ、って。今俺は初めて実感している。だって。



「そんじゃ、今日もお疲れさまー。かんぱーい」


終業後のPM9時。俺と優吾とりんりん、そして胡桃の4人は居酒屋【もぎり】で今日の疲れを労うべく飲み会をしている。

楽しい仲間、美味いビール。なのに俺は、全然笑えてない。


だって、意味分かんないよ。
昼休みに来たグループのライン通知。りんりんから『今日、仕事終わったら4人で【もぎり】行こう!』ってメッセージを見て俺は目を丸くした。

は?4人で?それって俺と胡桃も含まれてるんだよね?なんで?今このどーしょもなく気まずくて顔の合わせ辛い時になんで?

けれど、更に驚くことに胡桃はそれにあっさりと『OK』と返事していて。


そんで、実際このように俺を除く3人は凄くフツーに笑顔で乾杯している。気まずさの欠片もない。


……気まずいとか、胡桃と顔合わせるのしんどいと思ってるのは俺だけなのかな。


今までと変わらない飲み会がまるで茶番にさえ思える。もしかしてこれってドッキリとか?俺、なんか騙されてるんじゃねーの?ってくらい。
 
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