イージーラブじゃ愛せない


なんて事はないんだ、胡桃にとって。

俺との関係は本当に『友達+セックス』で、それに飽きたからフツーの友達に戻っただけ。


「はは、改めて分かるとけっこーキツイな」


帰宅した部屋で、ひとり自嘲の笑いが零れる。


本当に俺の一方通行な恋だったんだ。悲しくて悔しくてヘコんで、ろくに飯も食えなくなってるのは俺だけだったんだ。

きっと胡桃だって俺と同じ気持ちだって、ずっと心の奥で信じてた。なんて俺ってばおめでたいヤツ。


何度もふたりで寝たベッドに横たわって、俺は滲んでくる涙が零れないように硬く目を瞑る。


失恋して泣くなんて多分初めてかもしんない。25にもなって何やってんだ情けねー。

でも本当に。泣くほど好きだったんだよ。



いつまでも離せない恋心を抱えたまま、俺はひたすらに自分の傷が癒えるのを待った。

せめて、フツーの友達としてまた側にいられるように。また一緒に笑って飯が食える仲に戻りたい。


そう思ってフラフラと毎日を過ごしていた俺を待っていたのは。耳を塞ぎたくなるようなおっそろしい情報だった。
 
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