イージーラブじゃ愛せない
「……今、なんつった?」
8月も中旬に差し掛かろうという頃。一緒に飲みに行った優吾の口からは言い難そうに、けれどハッキリと嫌すぎる話が告げられた。
「だから……柴木ちゃんの引越し先、成瀬さんと同じマンションなんだって」
グラスを握りしめたままボーゼンとする俺に、優吾はりんりんから聞いたと云うその成り行きを教えてくれた。
「別に、付き合ってるとかそういうんじゃ無いみたいだよ。柴木ちゃんが物件探してるの知って、たまたま自分の住んでる部屋の隣が空き部屋だったからって、紹介してくれたみたい」
だからって。そんなの、もう付き合ってるも同然じゃん。成瀬さんだよ?胡桃と寝た男だよ?そんなのもう絶対――
頭を抱えてテーブルに突っ伏してしまった俺の耳に、優吾が溜息を深く吐いたのが聞こえた。
「そんなに好きなのに、どうして別れたの」
「別れたんじゃねー。俺が一方的にフラれたの」
「フラれる原因作りまくってたクセに」
優吾は呆れたようにそう言うけどさ、俺は未だによく分かんないよ。胡桃があの日あんなに怒った意味も俺に愛想を尽かした理由も。