イージーラブじゃ愛せない



もう、考えるのはよそう。

今さら考えたところでずっと不透明だった胡桃の本心なんて分かりゃしない。いくら未練を引きずった所でもう胡桃は俺の腕には抱かれないんだから。


優吾の話を聞いてとことんまで落ち込んだ俺は、そう思うしか無かった。割り切って、吹っ切って行かなきゃ、こっちの心が潰れてしまう。


そう決めて迎えた翌朝。


「おはよ、茜ちゃん」

「おはよう。あれ、ジョージくん……ちょと元気になったね」


出社した事務所で顔を合わせた茜ちゃんは、久しぶりに俺が笑顔で挨拶を交わしたことに、どこか安堵しているようだった。


「まーね。いつまでもショボくれてんのもなんか暗いし。そーいうのチャラい俺らしくないじゃん?」

「あはは、チャラいって自分で言っちゃう?でも。ジョージくん元気になってくれて良かったよ。結構心配してたんだから」


うーん。優しいよね、この子は。人への気遣いを素直に口に出せるいい子だよ。


そんな茜ちゃんの柔らかな雰囲気が、俺をどこかホッとさせる。
 
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