恋するリスク
「ヒトデと同じで言いませんよ。ファンが増えたら困りますから。」

水族館のときと同じ返答。

佐藤くんは、私のへんなところばかり、気に入ってくれているらしい。


ふわりと、心地いい風が吹く。

その風を吸い込むように深呼吸をすると、私は周りを見渡した。

芝生の上には、私たちのほかに3組ほどの家族連れ。

どの家族も、お母さんと子どもたちは遊んでいるのに、お父さんは3人とも、芝生の上で寝転がっていた。

「ふふ、パパは家族サービスでお疲れだね。」

「そうですね。平日、みっちり働いた後でしょうからね。」

ペットボトルのお茶を飲みながら、佐藤くんは呟く。

「でも、確かに気持ちよさそうだな。」

パパたちをうらやましく感じたのか、そう言うと、佐藤くんは姿勢を崩して芝生の上に寝転がった。

「あー、気持ちいー。空、青いですよ。」

空に手をかざして目を細めた佐藤くんは、本当に気持ちがよさそうで、私も自然と誘われる形で、一緒に寝転がってみた。

「ほんとだ。なんか、日常を忘れるね。」

「ですね。」

佐藤くんが目を閉じる。


(ふふ、かわいい。

佐藤くんだって、平日みっちり働いているもんね。)


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