恋するリスク
私たちのような仕事は、曜日感覚がなくなりがちだ。

けれど月曜日は、患者さんの入院が多かったり珍しい先生が顔を出したりと、どことなく慌ただしくて、なんとなく新しい週が始まったのを感じる。

私は担当患者さんの朝の点滴を用意すると、それを携えて病室へ向かった。

「おはようございます。」

「おう、藤崎さんおはよう。今日もキレイだね!」

「ふふっ、ありがとうございます。」

803号室の夏目さんは、満面の笑みで私を迎える。

77歳の彼によると、私は、昔好きだった女優さんに似ているらしい。

「点滴はじめますね。」

「おう。」

腕を出した夏目さんに、点滴をつなぐ。

そんな私の顔を見て、夏目さんは人懐っこい笑みを向ける。

「藤崎さん、土日休みだっただろう。デートでもしてたかい。」

ずっと自営で商売をしていた夏目さんは、何気なく会話をするのがとてもうまい。

私はドキリとしつつも、平静を装う。

「・・・だと、いいんですけどね。」

「違うのかあ。藤崎さんなら、引く手あまただろう。」

< 124 / 174 >

この作品をシェア

pagetop