恋するリスク
「ふふ、そうだったらうれしいです。」

笑顔でかわすと、「また来ますね」と言って夏目さんの部屋を後にする。


(・・・ドキッとしちゃった。)


土曜日のことを思いだし、少しだけ顔が熱くなる。

シャツを返し忘れたことは、佐藤くんにまだ、伝えていない。

佐藤くんからも、まだ、連絡はない。

わざとらしかったかな、と、そんな気がして、恥ずかしくて言いにくい。

佐藤くんも・・・同じだろうか。

それでも、今日あたり連絡したほうがいいかな、と考えながら廊下を歩いていると、「すみません」と後ろから声をかけられた。

「はい?」

振り向くと、805号室の多田さんの奥さんが、申し訳なさそうに頭を下げる。

「主人が枕にお茶をこぼしちゃって・・・。」

「ああ。大丈夫ですよ。すぐ換えますね。」

部屋で待っていてくださいと付け加えると、私は病棟のすみにあるリネン室へ向かった。


(えーと、枕と枕カバーと・・・シーツも持っていっとくか。)





< 125 / 174 >

この作品をシェア

pagetop