恋するリスク
「もう・・・大丈夫。ありがとう。」

「そうですか。」

私がコップから口を離すと、佐藤くんはテーブルの上にコップを置いた。

「・・・結構、飲んでましたよね。」

コップを見つめたまま、佐藤くんはぼそりと呟く。

「見てたの?」

「・・・すいません。止めようか迷ったんですけど。

席離れてるのに、オレが止めに行くっていうのも、ちょっと・・・どうかと思って。」

「ううん。そんなことは、いいんだけど・・・。」

見られてたのか・・・。

西村先生のことで動揺していたことを、佐藤くんは見抜いただろうか。


(恥ずかしいな、本当・・・。)


うつむくと、佐藤くんは私の顔を覗きこむ。

「気分、悪いですか?」

ばちっと、佐藤くんと目が合った。

その目にドキリと胸は高鳴るのに、私の頭はそれを遮るように、以前、西村先生がこうして気遣ってくれたことを思い出させる。


(やだ、なんで・・・。)


こんなときに、西村先生のことを思い出すなんて。




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