いつでも一番星


「人望を集めるほど、近づこうとする人が増えるほど、あいつは本当の意味で人と親しくなることをあまりしなくなった。前はもっと好きなように笑ってたんだけど、今は周りに合わせてるような感じで……。人と関わることを避けてるっていうか、なかなか打ち解けようとはしなくなっちまってさ。おかげで真剣な意味で好いてくれたり仲良くしようと思ってくれてる子がいても、積極的に近づかれない限り気づかないようになったんだよ」


中学時代からの友達でナツくんのことをよく知っているであろう横峰くんがそう言うってことは、つまり今のナツくんは本来の姿ではないということなのだろう。

ナツくんが人の様子を窺いながら笑顔を貼りつけていることは前々から気になっていたから、横峰くんが言いたいことはよくわかった。


「……ナツくんは優しいから、自分より人のことを優先して考えてるんだと思う。だからいろんな人と仲良くすることが多いと疲れちゃうから、どこかで一線を引いた付き合いをするようになったんじゃないかな」


ただの憧れの人としてナツくんを見ていた頃は、仲良くしている人が多いように思っていたしそれだけ人望もあるように見えていた。

だけどナツくんがときどき本音をこぼすように仮面のような下手くそな笑顔を浮かべる瞬間を見つけてしまってから、彼は心を放つのではなく隠すために笑っていることに気づいてしまった。

人を思いやるため。優しいため。自分の弱さを隠すため。

さまざまな理由を抱えて笑うナツくんの心に本当に近づけている人は、目に見えている数よりもっと少ないのだろう。


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