恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「そんなのどうでもいい。山田、今日は、車で一緒に行くぞ」
「課長、車通勤だったんですか」
「ああ、乗せてやる」
「いいんですか? 良かった。寝坊しちゃって遅刻するかと思いました。車ん中で化粧出来るし、ラッキー」
「早く行くぞ」
「はいはい」
持つべきものは、近くの上司だ。課長と同じ職場で初めて良かったと思えた。
地下の駐車場へ行き、課長の車に乗り込んだ。車は良く知らないし、興味もないから車種とかもわからない。知ってる車種は、マークがわかりやすいベンツとアウディだけだ。
課長の車は、やはり車種がわからない。ただ、白い乗用車だ。中は、程よい広さで足元が広い。
乗ってから、シートベルトをすると課長が言ってきた。
「シートベルトがねじれてる。直してやる」
私のシートベルトに手をかけ捻れをなおし始めた。課長の顔が近くに来て、手が肩と腰付近に触れた。
ーーーうっ、近い! 少し位捻れててもいいけど。
「山田、お礼はキスでいいぞ」
「へっ、お礼って?」
車を走らせる課長。
「会社まで、ラクさせてやるお礼だよ」
「え? 嘘でしょ」
面食らっていた。にわかには信じられない話だ。
ーーーお礼にキス? 馬鹿みたい。
「嘘じゃない。わざわざ部下をボランティアで車に乗せてどうするんだ?」
「や、だって……そんなのって聞いてない」
バッグから化粧道具を出していたが、化粧する気にならなくなっていた。
「言ってないからな。でも、もう遅い。俺の車に乗ってるし、おりたら遅刻だ」
「そのために私を車に乗せたんですか?」
「まさか、そんな訳ないだろ。さっき玄関で拒まれたから、今言ってるんだ」
「え、キスなんて考えてないっていいましたよね?」
困惑して課長の横顔を見つめた。