恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
車の助手席に乗せられ目一杯シートを倒されていた。その後、課長に顔を覗き込まれているという状況だった。
「あの、課長?」
上野課長が無言でジャケットを脱ぎ始めた。
ーーーちょっと、なんでジャケット脱ぐの?!
身の危険を感じ、起き上がろうとしたが、課長の手に抑えられてしまう。
ーーーやだ! 会社の駐車場だよ。ここ! 密室だと言ってもさ! 節操なさ過ぎ!
私、病人だよ!
「課長!」
文句を言いたくて、シートを起こそうとしていた。
「静かに寝てろ。着いたら起こしてやる」
シートベルトをかけられて、パサっと体に被せられたジャケット。ヒーターも高めにつけてくれているようで、次第に車のなかが暖まってきた。
ーーーなんだ。ジャケット脱いだのは、私にかけてくれるためかぁ。早く言ってよね。
安心して、息を吐き瞼を閉じ始めていた。
「お前、神島に送ってもらうつもりだったのか?」
閉じかけた瞼を開く。
「いえ、タクシーで帰るって言ったんですけど……」
車が動き始めた。
車の揺れが心地よくて、眠りかける私。
「ちっ……あんなに引っ付いて抱きかかえられやがって……」
朦朧とした意識の中、誰かの舌打ちが聞こえた気がしていた。