恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「なら、必要ないよな? そんな口紅」
「え?」
課長が私の肩を掴んでシートに押し付けた。やみくもに押し付けられた唇。獣みたいに荒々しく乱暴すぎて私は目を見開いて課長を見ているしかなかった。
はっとして、課長の頬を平手で思い切り叩いた。
やけに長い信号待ち。
気まずいムード全開の車内。
信号が青になって課長は、指先で自分の唇についた私の口紅を拭う。
メラメラと怒りの炎が湧き出してきていた。
「か、課長! 最悪なんですけど! やたらと簡単にキスしないでもらえます? 別に私でなくても課長からキスしてもらいたい女子社員ならたくさんいるのにぃ……」
私は、バッグからティシュを出して唇を拭った。文句をいいながら、最後は泣きたくなってきた。
ーーーバカにしてる。完全に舐めてる。私をなんだと思ってんだろ?
「お前だから、したかった」