恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「…あの、か、神島課長!」
いたたままれない雰囲気に私は手を引っ込めた。
「ん?」
「神島課長は上野課長と前は良く飲んだりしてたんですよね?」
「あ? そうだね。懐かしいよなぁ」
微笑みながらグラスを持ち上げる神島課長。
「ユキさんって……神島課長の彼女だったんですか?」
神島課長は口をつけようとしていたグラスを一瞬唇の手前で止めた。
「ユキね。……彼女は……結果的には俺の彼女だったのかなぁ……それよりさ」
グラスをテーブルに置いた神島課長が、指先を私の顎に伸ばしてきた。
ーーーこれ、何? キスされる? いやいや、まてよ。前に上野課長がキスするのにいちいち顎は掴まないって言って無かったっけ? 勘違いしないようにしないと……。
そう思ったのも束の間だった。
私は見事に顎を少し上げさせられて、神島課長の顔が目の前まで来ていた。
ーーーえぇ!!
されるがままの私の口が誰かの手により塞がれていた。
「うっぐ!」
塞がれて椅子ごと私の体は持ち上がり、神島課長から離されてそのまま向かい側の席に移動していた。
床に足がついた私は、座ったままの状態で、たった今、私を椅子ごと運んだ人物を見上げた。
その人は、自分の二の腕を反対側の手で揉みほぐしていた。
「上野課長……」
上野課長は、私を見おろしテーブルに置いた花束を私に差し出した。
「送れたな。さみしかったか?」
上野課長は恥ずかしさを微塵も感じて無いふうにそんな言葉を吐き、更に私の耳元で毒を吐く。
「ドンクサ過ぎないか? 俺以外の男に隙みせるな。どうして顎をもたれてボケっとしてるんだ? いつもみたいに大口開けろよ」