恋愛遭難★恋は水もの〜パツンと教訓!〜
「見なかったことにしてくれって言われても、脳内の記憶は簡単には消せないからな」
「課長! ひどい! わざとじゃないのに! 私……怖くなって」
モコモコのパーカーを着て、私はヘナヘナと座りこんだ。
「……もう、着替えたか?」
律儀に後ろ向きのまま聞いてくる課長の背中を見つめた。
「で、奈緒さんは鏡になんて書いてきたって?」
私がまだ着替えていると思い後ろを向いたままの課長。
「恋は……」
私は、立ち上がっていた。
「恋は?」私の言葉を繰り返す課長。
「……」ベッドに腰掛けるやけに姿勢のいい上野課長。一歩ずつ課長に近づきながら、私は考えていた。
ーーー恋は、水もの。
課長を好きにならないって決めてた。だけど、好きになってしまった。
自分を取り巻く状況なんか常に変わるものだ。現に私の夢の城に霊がでる状況なんか予想していなかったのだから。
私は、ベッドに上がり上野課長の後ろからおんぶされるみたいに両手を回した。
「課長……」
上野課長の耳の近くに口を寄せる。
「課長、私、課長のナスでもいいです」
「なんだと?」
ーーー初めは、課長が嫌いなナスでもいい。
「ナスだって、料理次第で味も変わります。ナス……食べられない訳じゃないんですよね? それなら……」