現代のシンデレラになる方法
「貴之さん、これは大事なことなんですよ。結婚というのはね、2人だけの問題じゃないの。今後家族同士でもお付き合いが必要になるんだから。それになるべく相応なお嬢様じゃないと、後々苦労するのはあなたなんですよ?」
一触即発という雰囲気の中、さらに油をそそぐお母さん。
先生だって大人だ、こんな公共の場で大声をあげたり、人に手を上げるなんてしないだろうけど。
お母さんを、今まで見たことのないような冷たい目で睨む先生にそんな事態も想定してしまう。
「……せ、先生、すいません、あのちょっと席を外してもらえますか」
「ひなた?」
一体どうするつもりなのか、不安そうに私を心配してくれるが、私はきっぱり言った。
「お願いします」
先生が私を残して部屋から出て行った後。
まるで私は、蛇に睨まれた蛙のようだった。
そしてお母さんばかりが喋って、お父さんの方は時折日本酒を飲みながら静観しているようだった。
「……はっきり言うけど、あなたじゃ貴之には釣り合いません。あの子のためにも別れてもらえますか?」
先生がいなくなって言いやすくなったのか、包み隠さず本音で言うお母さん。
ぐさっと刺さるような言葉だが、自分でも思っていることだ。
なんてことはない、そう思いながらもやっぱり改めて人に言われるとちょっと傷つく。
「すいません、私もそう思います。自分なんかじゃ、貴之さんに釣り合わないと。お母様がそうおっしゃるのも無理ないです」
「物分りが良い方で良かったです」
そう言って、ほっとしたように微笑む。
「貴之さんはお医者様という社会的な地位もあって、収入もあって。おまけにあんなにかっこよくて、優しくて……。私にはもったいない人です。よく想像して落ち込むんですが、きっと貴之さんは、今まで色んな素敵な女性と付き合ってきたと思うんです」
「そうね、正直あなたみたいな子は初めてだったわ」
やっぱり、思わず苦笑いしてしまう。