現代のシンデレラになる方法
そこからは早かった。
若いからあまり経験がないんじゃ、と心配していたのに。
先生の手際があまりにも良すぎてびっくりした。
「喉頭鏡」
「はい」
「チューブ」
先生の指示に遅れないように物品を渡す。
それからも、先生はそつなくこなしていく。
患者さんにも寄るが、ベテランの医者だって手こずることがあるのに。
正直、こんなにスムーズにやれる若手の医者なんて初めてだった。
「聴診器」
「はい」
そう言って先生の耳に聴診器をかける。
今はそんな場合じゃないのに、不覚にも少しドキドキしてしまった。
「入ってるな、22cm固定で」
そう固定を促されるも、私はアンビューを押して換気しているため手が離せない。
「尾川さん、固定お願い」
と言うと、びくっとしてテープを切り始めた。
そしてチューブをテープで固定し始めるも、緊張しているのか手が震えてる。
手つきも覚束なく、途中でぐちゃぐちゃになってしまった。
変わろうかと言おうとしたが、それよりも早く東條先生が彼女に声をかけてくれた。
「こっち、持ってて。22cmでずれないようにな」
「は、はい」
そう言ってチューブの方を尾川さんに託すと、変わって先生がテープで固定し始めた。
外科だから手先が器用なのか、上手に固定していく。しかも早い。
「よし、呼吸器装着しよう」
そう先生が言ったところで、呼吸器を起動しておいてと言っておいたのに画面は真っ暗。
電源が入っていない。
なんで、さっき言っておいたのに。
そう後輩を責めたくなるも、こらえてアンビューを押しながら口頭で指示を出す。
「尾川さん、呼吸器電源入れて」
「す、すいません、どこですか」
「後ろにあるから、あと配線繋いで」
「はい、すいません」
普段こんなにもたもたしていたら、間違いなく医者に怒鳴られるか邪魔だと追い出されているところだろう。