現代のシンデレラになる方法
そんな噂話をしていると、その張本人の東條先生が食堂に入ってきた。
ラッキーと、喜ぶ後輩。
一目見れただけでも嬉しいらしい。
「そういえば東條先生、よく食堂で見かけるようになりましたね?」
「そうそう、今まで医局であの子のお弁当食べてたのに。朝も今は先生1人で来てるらしいよ」
「へー、喧嘩ですかね?」
ちょっと嬉しそうに話す尾川。
あの食事会の日、皆は気付いてないみたいだけど、あの日相澤さんを追って先生は帰って行った。
おそらく一緒に帰ったんだろうけど、あの日からどうやら距離を置いてるようだ。
これはまたとないチャンスだ。
これを逃したら本当に先生をあの子に取られちゃう。
そして始まった料理の猛特訓。
あの子に負けない位上手になったら、先生にお弁当を持っていくつもりで。
まるで学生のようなことをしているが、それ以外に先生を落とす方法が分からない。
彼女はきっとお弁当で先生の気をひいたから。
だったら私だって。
だけど、今までろくに料理なんて作ったことがなかった。
食事はコンビニや外食がメインだったから。
早く先生に出しても恥ずかしくない位、作れるようにならないと……っ。
指先に増えていく傷跡。
……あぁ、みじめだ。
30近くにもなって何やってんだろう。
もっとスマートな方法があるんじゃないのか。
でもやると決めたんだ。
あの子の後釜狙いだって、魂胆見え見えでもいい。
それで少しでも先生が私を見てくれたら……。