彼女いない歴が年齢の俺がもうすぐパパになるらしい。

「……もお。それって意地悪で言ってます?それとも天然なんですか?」


細い指を口元に押し当てて、南は実に女の子らしい声でくすくす笑い出す。そんな仕草がいかにも男心をくすぐる。

『ぶりっこ』だとか『女優』だとか陰で言われている南だけど、男の目にはそうと分かっていても女の子らしい仕草がいちいちかわいく映るものだ。

4つ下のこの後輩は女優さんみたいにぱっちりした目が印象的な美女だから、なおのこと可愛らしく見える。

手入れの行き届いた清純系なロングヘアがよく似合っていて、一見守ってあげたくなるような可憐な容姿。でも実は入社当時から言い寄ってくる男共を片っ端から袖にしてきたつわものでもあった。


そのつわものが、挑むような目で俺を睨んでくる。



「やだなぁ、花嶋先輩ったら。口実に決まってるって分かってるくせに。相変わらずつれないなあ」



この美女が、どういうわけだか近頃俺にご執心なのだ。

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