ご主人様に監禁されて
今日の朝食であるマフィンをメイの部屋へ持って行く。
少し遅くなってしまった。
小走りで向かい、天蓋付きのベッドに眠るメイを起こそうとする。
「……」
すやすやと眠るメイをかき抱きたくなった。
ずっと大きくなって抱きしめやすくなっ
た腕と肩を強く抱きしめて、あの時から変わらない香りを胸に収めたい。
メイのすべてが欲しい。
絶対にしてはならないからこそ、余計に。
思いを告げることすら叶わない、だって彼女は一一
「…なんで、だ」
なんで、どうして。
「なんで父上のもの、なんだ…っ」
どうして、僕のものじゃない。
「母上の幻影を追ってるあいつなんかより、僕はずっと…ずっと、」
その先は、言ってはならない。
言ったら間違いなく一一ルイが壊れる。
この部屋に閉じ込めておくだけでは飽き足らなくなってしまう。
どうなるかわからない。
それほど、ルイはメイを愛していた。
一一隠さねば。
メイを絶対に、父から。
「…絶対に、渡さない」
そっとリンカーングリーンの髪の毛を撫でながら、そう誓った。