ベランダから見える星
「静ちゃん!?」


「ごめんなさい…」


お父さんにはもう幸せになってほしいの。


あの人たちに縛られることなく,穏やかに幸せに。



「謝る必要ないだろう?
 ずっと頑張ってたんだ,自慢することはあっても謝ることはない。」


違う。


頑張ってない。


知られたくない,なんて言っておきながら私は…逃げてただけだった。


もっと…問題に向き合っていたら,知られずにすんだかもしれないのに。


たとえ相手…京介と向き合わなくても。



「静だけの問題じゃない,俺たちの問題なんだ。
 一人で抱え込むな。
 今更だけど今までの分,甘えて,頼ってくれ。」


『頼りない父親だから抱え込むんだろうけどさ』と泣きそうなのに笑顔を見せるお父さんに,私は後悔した。


あの人のことは確かに私だけの問題じゃない。


もとは家族だったのだから。


それを一人で抱え込むなんて…お父さんのこと考えてるようで考えてなかった。


今までのことを引きずってるお父さんに,もっと責任感じさせちゃった。



「ごめん。
 今度からは何でも話す。」


そう言うと,お父さんは穏やかに笑ってくれた。


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