ベランダから見える星
「静っ」


慌てて駆け寄ってくるお父さんに『大丈夫』と一言いい,お母さんと向き合う。


次にパンッと乾いた音がしたときは手の平が痛かった。



「何考えてるのよっ
 お母さん一人の身体じゃないのよ!?
 無茶なことしないで!」


「分かってるけど体が勝手に…
 だからって叩くことないじゃない!」


「お願いだから…
 もう誰かが傷付くのを見たくないの。」


綺麗事かもしれないし,自分勝手だし,そんなこと無理だって分かってる。


けど,せめて防げることだけは…防ぎたいから。



「あんたたち馬鹿じゃないの?
 家族ごっこなら他所でやってくれない?」


「私たち家族と関わらないって約束してくれたらすぐにでも出ていく。」


目的を一つだけでも果たさなきゃ帰れない。


けど…この一つが叶えば,他のは二度と叶うことはないだろう。



「跡取りなら京介がいるじゃない。」


「姉さん!」


驚いた。


まさかこの状況で京介が喋るなんて思わなかった。


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