ベランダから見える星
「母さんの気持ちも分かってあげてよ。
 少しだけでいいから…」


「どういうことよ。」


「母さん…父さんが大好きだったんだ。
 姉さんが生まれてしばらくまでは仲がよかったらしい。」


この言い方…私が生まれてこなかったら2人は幸せだったってこと?



「京介やめなさいっ」


「もういいだろっ
 母さん,前に進もう?
 姉さんを2人は大切に育ててた。
 けど姉さんが大きくなるにつれて感じたんだって。
 『私より娘が大事なのか』って。」


意味分かんない。


それは…何?


娘に嫉妬したってわけ?



「僕が生まれてからも父さんは姉さんを一番可愛がった。
 それが気に喰わなかったんだよ母さんは。
 多分その頃から愛情が憎しみに変わっていったんだ。」


…私が悪いの?


やっぱり生まれてきちゃ駄目だったの?


そう思っていると優しい香りと温もりに包まれた。



「お母さん…」


「大丈夫よ。
 静ちゃんは悪くない。
 悪くないのよ。」


何でお母さんはいつも欲しい言葉をくれるんだろう。


何度救われたかわからない。


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