ベランダから見える星
「君江…すまなかった。
 俺は酷いやつだ。
 京介のことを受け入れられなかった。
 そして,君を愛してはいなかった。」


お父さんは深く頭を下げて謝っていた。


でも“京介を受け入れられなかった”ってどういうこと?



「そっか姉さんは知らなかったね。
 僕,父さんの子じゃないんだ。」


え…


その頃はまだ夫婦だったでしょ?



「色々あったんだよ。
 まぁそのせいでバラバラになっちゃったんだけど。」


京介のその顔を私は知っていた。


昔の私の顔と同じだから。


何もかもを終わりだと決めつけていたあの頃の自分と。



「知ってた。
 一方通行だって分かって結婚したの。
 でも許せなかったのよ。
 だから私はこの子に…女として嫉妬したの。」


さっきまでとは違い,すっかり大人しくなってしまったこの人に,私はどう対応したらいいかわからなかった。


こんなときにギュッと手を握ってくれる人がいなかったら,私は立ってすらいられないだろうけど。



「もうどうでもよくなった。
 貴方たちには二度と関わらないと約束するわ。」


思いもよらない言葉に私は素直に驚く。


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