ベランダから見える星
「京介ありがとう。
 貴方も好きに生きなさい。
 何にも縛られることなく。」


この人も苦しんでいたのだろうか。


中まではわからないけど,一瞬見せた穏やかな顔は…やっと開放されたと言ってるようにみえた。



「僕は母さんとずっと一緒にいるから安心して。
 大丈夫,一人じゃないよ。」


するとあの人は京介の胸の中で泣きだした。


子供みたいに大声を張り出して。


京介はいつの間にか大きくなっていた。


私よりもずっと大きく…



「…京介,あんたは悪くないよ。
 貴女も…誰も悪くないんだよ。」


何だか言いたくなった。


もう大丈夫,安心してって。


長い間…ずっとみんな苦しんで来たんだ。


私だけじゃなくみんな。



「私…許せないし,貴女も私のこと許せないと思う。
 だけどこれだけは言っておく。
 幸せになって。
 私も幸せになるから,絶対。」


お互い幸せになって『あの頃は』って思い出そう。


そしたら今とは少し違う気持ちで思い出せるかもしれないから。


< 368 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop