ベランダから見える星
「葵…
 メアド変えないで?
 私も変えないから。
 それが私達を繋ぐもの。
 でももし,待てなくなったら変えてね?」


『帰国のときにメールするから』と言って私は千香の元に行く。


チラッと後ろを振り返ると葵が笑顔で私を見ていた。



「静は私より葵が大事なの!?」


音緒のことを抜きにしても葵が嫌いな千香は,最近葵と話してるといつもこれだ。


千香の気持ちは分からなくもないんだけどさ?



ピンポンパンポン♪


カナダ,バンクーバー行きの飛行機の案内アナウンスが流れた。


途端に私達は静かになり,ほぼ無言で搭乗口まで歩いた。


そしていよいよ出発の時間。



「静,気をつけるんだぞ。
 毎日連絡しろよ?」


お父さん…毎日なんて絶対しないよ?



「絶対会いに行くからね!」


ありがとう,お母さん。


そのときには案内出来るようになってるね?



「連絡必須よ?」


千香…泣きながら言わないでよ。


我慢してんだから。


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