レモンキャンディ






なぜ彼は私の心を乱すのだろう。



『家でゴロゴロしています。』



真っ赤な嘘をついた。



だって、呼び出されたら困るから。
何かあったら困るから。



『渋谷で待ってます。

ー大矢涼介ー』



いや、人の都合関係ないのかい!



なんて返すべきなのかわからずまごまごする。



「好きな人からメール?」



「え?」



「だってさおりちゃんちょっと嬉し恥ずかしそうなんだもん。」



女という生き物はなんでこうも鋭いのかしら。


「デートのお誘いかしら?」


「え?え?」


「まだ3時半ね、いまからでも遅くないと思うわよ。」




そう言ってお母さんは立ち上がってお会計の方へ向かう。



「どうして、わかるんですか?」


「そりゃぁだって、私も恋する乙女だならね。」



柔らかい微笑みはまさしく恋する乙女だった。



「お会計はいいわ。こんどまたお使いなりなんなりお願いするからね。」



お母さんの優しさに胸打たれる。


私も本当の娘だったらよかったのに、、、。



「ご馳走様でした!」




お店をでてちょっと臭い世界にまたでる。



ちゃんと伝える。

大切だから。






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